トップメッセージ

株主・投資家の皆さま

2027年3月期第1四半期におけるセキュリティ業界では、フィッシング詐欺や経営者・取引先等を騙る偽装メール、認証情報の窃取を起点とする不正アクセスなど、サイバー攻撃の巧妙化・多様化が続きました。また、クラウドサービスや生成AIの業務利用が拡大する中、社外・拠点端末の保護、未承認のクラウドサービスや生成AIサービスの利用管理、組織全体のセキュリティガバナンス強化が重要な課題となっています。

当社グループは、国産のセキュリティソフトウェアメーカーとして、「より便利な、より快適な、より安全なインターネットライフに貢献する」という企業理念のもと、安全なインターネット利用環境の実現に取り組んでまいりました。特に、信頼できる通信や挙動のみを許可することで脅威を未然に排除する、独自のセキュリティ対策モデル「ホワイト運用」の価値を、企業・官公庁・教育機関・家庭へ幅広く提供しています。

「ホワイト運用」は、2026年6月末時点で約1,500万人にご利用いただいており、対象製品におけるマルウェア感染被害報告は引き続き0件となっています。こうした実績を積み重ねることで、当社独自のセキュリティモデルの有効性と信頼性を高めています。

生成AIの普及により、攻撃や偽装コンテンツの生成が高度化し、脅威を検知してから対応する従来型の対策だけでは、被害を防ぐことが一層難しくなっています。AI時代には、危険なものを見つけ続けるだけでなく、信頼できる通信やサービスのみを利用できる環境を整備することが重要です。当社は「ホワイト運用」を通じて、利用者の判断負担や運用負荷を軽減しながら、安全なWebアクセスやメール利用の実現に貢献してまいります。

2027年3月期は、中期経営計画の最終年度です。当社グループは、「セキュリティ事業の成長」「公共市場シェア拡大」「ハイタッチセールスを支える営業・開発体制の強化」の3領域を重点テーマとしています。具体的には、主力製品の伸長、新製品の収益化、販売体制の強化、及び公共・教育分野における案件獲得に取り組んでいます。

第1四半期は、企業向けクラウド案件、「GIGAスクール構想 第2期」案件及び省庁向け案件の獲得が業績を牽引し、契約高、売上高、営業利益はいずれも前年同期及び会社計画を上回りました。通期業績予想の達成に向けて、非常に順調な滑り出しとなっています。 加えて、クラウドサービス系製品の契約残高が大幅に積み上がり、将来の売上高及びストック型収益の基盤も拡大しています。

企業向け市場では、「i-FILTER」がフィッシングや不正アクセスへの対策に加え、未承認のクラウドサービスや生成AIサービスの利用管理需要を取り込みました。「m-FILTER」は、PPAP対策を起点とした受信メール対策との複合導入や、メール環境のクラウド移行が進展しました。また、新製品「Z-FILTER」は、統合セキュリティ管理ニーズを背景に案件形成及び受注が進み、企業向け事業の成長を担う新たな主要商材として立ち上がりつつあります。販売面では、販売パートナーとの連携を維持・強化するとともに、当社自らがエンドユーザーとの接点を強化しています。顧客課題や現場ニーズを直接把握した上で提案活動を行い、アップセル・クロスセルやクラウド移行提案につなげる営業体制への進化を進めています。加えて、直接対話を通じて得た知見を製品・機能開発にも反映し、販売力と製品力の双方を強化しています。

公共向け市場では、「GIGAスクール構想 第2期」案件の獲得が成長を牽引しました。競争環境が激化する中でも高い受注シェアを維持するとともに、「GIGAスクール構想 第1期」と比較して受注単価も上昇しました。今後も、既存顧客への継続的なフォローや教育現場のニーズに即した製品機能の強化を進めるとともに、「次世代校務DX」、省庁向け案件及び「第3次自治体セキュリティ強靭化」への対応にも注力してまいります。

製品戦略においては、AI利用の拡大に伴う機密情報の漏えい、不適切な入出力、判断過程の不透明化、AIエージェントの自動実行といった新たなリスクへの対応を進めています。当社グループは、生成AIの普及に先駆けて7年前よりこうしたリスクへの対応に取り組んでおり、培った知見は特許技術としても確立しています。「i-FILTER」及び「Z-FILTER」を中核として、この特許技術に基づき生成AIへの入力・出力・利用状況を制御・可視化し、組織のポリシーに沿った安全なAI活用を支援するソリューションの実現を目指します。
※「特許第6939470号・7059424号・7030282号・7096446号」

また、営業・開発をはじめとする各部門でAI活用による業務の高度化・効率化を進め、人員増強のみに依存しない高効率な事業運営基盤の構築に取り組んでいます。成長投資と収益性向上を両立し、中長期的な企業価値の向上につなげてまいります。

インターネットは、社会生活や企業活動に欠かせない重要なインフラです。当社グループは今後も、「ホワイト運用」を軸とした独自の価値提供を通じて、企業・官公庁・教育機関・家庭におけるセキュリティ課題の解決に貢献し、中長期的な成長と株主価値の最大化に向けて着実に歩みを進めてまいります。

今後とも、皆さまの変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2026年07月31日
デジタルアーツ株式会社
代表取締役社長 道具 登志夫