トップメッセージ
株主・投資家の皆さま
2026年3月期におけるセキュリティ業界では、ランサムウェア攻撃やフィッシング詐欺に加え、情報窃取型マルウェアにより窃取された
認証情報・認可情報を起点とする不正アクセスなど、攻撃手法の巧妙化・多様化が一段と進行しました。
さらに、生成AIの急速な普及に伴い、AIを悪用した攻撃や、AI利用に起因する情報漏えいリスクへの対応も重要課題として認識される
ようになっております。
当社グループは、国産のセキュリティソフトウェアメーカーとして、「より便利な、より快適な、より安全なインターネットライフに貢献する」という企業理念のもと、安全なインターネット利用環境の実現に向けて取り組んでまいりました。特に、信頼できる通信や挙動のみを許可することで脅威を未然に排除する「ホワイト運用」の価値を、企業・官公庁・教育機関を中心に幅広く提供してまいりました。
従来のセキュリティ対策は、攻撃を受けることを前提とした“検知と対応”型が主流でした。しかし、攻撃手法が高度化・多様化し、生成AIの悪用によって真偽の判別や異常の検知がより難しくなる中では、脅威を検知してから対応するだけでは、被害を完全に防ぐことがますます困難になっています。
当社が提唱する「ホワイト運用」は、安全と判断された通信や挙動のみを許可することで、危険な攻撃を未然に排除するセキュリティモデルです。当社がホワイトリストデータベースを日々メンテナンスし、お客様に配信することで、一般的に負荷が高いとされるホワイトリスト運用を、導入・運用しやすい形で提供している点に大きな特長があります。2026年3月末時点で、当社の「ホワイト運用」は約1,500万人規模のユーザー基盤へ拡大(2025年4月より約131万ライセンス増)しており、8年半前の発売開始から現在に至るまでお客様からのマルウェア感染などの被害報告はゼロとなっております。
2026年3月期は、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の2年目として、「セキュリティ事業の成長」「公共市場シェア拡大」「新施策実行のための人材投資」の3領域を重点テーマに掲げ、各種施策を推進してまいりました。
企業向け市場では、「i-FILTER」「m-FILTER」がセキュリティ対策ニーズを着実に取り込み、堅調に推移しました。また、2025年11月に
販売を開始した新製品「Z-FILTER」も順調に案件が積み上がり、今後の成長ドライバーとして一定の成果を得ることができました。
公共向け市場では、「GIGAスクール構想 第2期」案件において高い獲得率と案件単価向上を実現し、契約高が大きく伸長しました。
一方で、クラウドサービス系製品を中心とした受注構成であるため、収益認識の影響により当期の売上高の伸びは限定的となりましたが、今後の売上高計上とストック型収益基盤の拡大につながるものと捉えております。
2027年3月期は、当該中期経営計画の最終年度となります。当社グループは、本年度を「企業向け市場の基盤構築」と「AI時代実装の加速」を推進する年度と位置付け、2026年3月期に得られた成果を土台として、さらなる成長の実現を目指してまいります。
具体的には、主力製品である「i-FILTER」「m-FILTER」の継続的な拡販に加え、「Z-FILTER」をはじめとする新製品・関連製品の販売拡大を進め、企業向け市場における成長を加速してまいります。また、販売代理店との連携を維持しながら、当社自らもエンドユーザーとの接点を強化し、顧客課題や現場ニーズを直接把握した上で提案活動を推進する営業体制への進化を図ってまいります。
製品戦略においては、拡大するセキュリティ需要の着実な取り込みに向けて、製品ラインアップの拡充および機能強化を進めてまいります。特に、当社が強みとする「ホワイト運用」の価値を生かしながら、顧客にとって分かりやすく、導入しやすく、運用しやすい製品・
サービスの提供を一層重視してまいります。加えて、AI利用の拡大に伴い顕在化する新たなリスクに対しても、制御・可視化・統制の仕組みを提供し、AI時代におけるセキュリティとガバナンス基盤の実現に取り組んでまいります。
公共向け市場においては、「GIGAスクール構想 第2期」案件で培った知見や営業手法を活用し、「次世代校務DX」案件や「自治体セキュリティ強靭化」案件など、教育機関及び自治体向け案件への対応を引き続き強化してまいります。
また、営業・開発の両面で体制強化を進めるとともに、AI活用による業務の高度化・効率化を全社的に推進し、人員増強のみに依存しない、高効率な事業運営基盤の構築を進めてまいります。
インターネットは、いまや電気・ガス・水道と同様に、社会生活や企業活動に欠かせない重要インフラとなっています。だからこそ、誰もが安心して安全にインターネットを利用できる環境を実現することは、当社グループが果たすべき重要な社会的使命であると考えております。当社は今後も、「ホワイト運用」を軸とした独自の価値提供を通じて、企業・官公庁・教育機関・家庭など、あらゆる分野におけるセキュリティ課題の解決に貢献し、中長期的な成長の実現と株主価値の最大化に向けて着実に歩みを進めてまいります。
今後とも、皆さまの変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2026年05月07日
デジタルアーツ株式会社
代表取締役社長 道具 登志夫